治療方法
鼻中隔延長にはいくつかの手法があります。ここでは一般的、標準的な鼻中隔延長の方法についてご紹介します。
- 切開・剥離
まず始めに左右両方の鼻の穴、鼻の穴と穴の間にある鼻柱をつなげるように切開を加えます。この方法はオープン法と言って鼻先、鼻中隔部分を露出させて術野を広く、鼻の組織の操作を容易にするための方法です。
次に鼻翼軟骨上を剥離し、脂肪や結合組織とを丁寧に剥離(剥がす)します。
- 鼻翼軟骨上側(頭側)切除
鼻翼軟骨の頭側部分を切開・切除します。この部分を切除することによって鼻翼軟骨を下側に延長することが容易となります。
- 鼻中隔軟骨の露出・剥離
左右の鼻翼軟骨の間に切開を加え剥離すると鼻中隔軟骨が見えます。(露出させる)移植させる鼻中隔軟骨が多く必要な場合、広範囲(奥深くまで)に丁寧に剥離し広げます。そうして移植させる分の鼻中隔軟骨を採取します。
- 軟骨移植
鼻中隔軟骨の鼻先側に採取した鼻中隔軟骨を継ぎ足すような形でしっかりと糸で固定します。さらに延長した鼻中隔軟骨を挟むように左右の鼻翼軟骨を引き寄せて固定することで新しい土台となる鼻先を作ります。
鼻先の形状に合わせ、移植する耳介軟骨や鼻中隔軟骨を加工し、鼻先に糸で固定し移植します。
- シリコン挿入
隆鼻を兼ねシリコンを使う場合は、シリコンを挿入します。
- 傷の縫合
仕上がりの状態をチェックし、ゴールとなる仕上がりの形状に整っていることを確認できたら、傷を縫合して、鼻中隔延長の手術を終了します。
鼻中隔延長の麻酔
鼻中隔延長の標準麻酔は全身麻酔です。
全身麻酔とは、お薬で体の機能の一部を遮断させ、医療的な管理下で一切の痛みを感じることなく治療・手術を受けることができる麻酔方法です。
ダウンタイム・術後経過
鼻中隔延長の術後には必ずダウンタイム(日常生活への制限)があります。もちろん個人差はありますし、腫れの程度や痛みの基準というのは人それぞれ違いますのであくまで一般的な表現としてご紹介いたします。
--痛み
術後の痛みは1、2日程度です。しかし、痛み止めの内服が処方されていますので、持続的な痛みというのはほとんどありません。動かしたり触ったりしたときに痛みを感じる程度のことですので心配の必要はないと考えて良いでしょう。
--腫れ
術後1週間はギプスを装着する為、表からは見えませんが強い腫れを生じると考えてください。 2、3日目をピークに7日間程度で強い大きな腫れは軽減します。
また、腫れというのは鼻が腫れるよりも目元周辺に強い腫れを引き起こすとお考えください。内出血や感染を引き起こした場合、腫れが長引く事があります。
--内出血
内出血については治療中に十分な止血をおこなったとしても防ぎきるということはできません。鼻周囲に内出血が出るというよりも目元周辺にできる場合があります。鼻の手術なのに目元に内出血が出てしまうことで驚かれる方が多いのですが、異常な経過ではありません。内出血は概ね4、5日程度で消失します。
--ドレーン(管)
出血し、創部に血腫ができることを防ぐために基本的には1日程度ドレーンという非常に細い、血液やリンパ液を排出するための管を挿入します。ドレーン口からの出血は正常な経過ですので驚かないでください。血液が外に出ず、皮下に溜まることの方が恐ろしいんです。
--ギプス固定
鼻中隔延長の術後1週間は鼻の形状に合わせたギプスを装着します。
基本的には肌色のテープで固定しますが、状態によっては糸で固定する場合もあります。縫合固定をする場合、1週間後に抜糸します。
腫れや移植軟骨の状態によっては、2〜4週間程度就寝時に装着を推奨する場合があります。
--抜糸
縫合した糸は1週間後に抜糸します。鼻腔内の糸については2週間以降で抜糸が可能です。ただし、鼻腔内の糸は吸収糸と言って溶ける糸を使う場合が多いので、その場合は抜歯は不要です。
--術後の通院
翌日〜3日目/1週間目/2週間目/1ヶ月/3〜6ヶ月の合計5回程度が一般的です。通院回数の少ないクリニックは術後の体制が不十分な可能性がありますので注意しましょう。
--メイク
鼻全体のメイクはギプス除去後から可能。鼻を除けば基本的には当日から可能です。
--洗顔
これまでのような洗顔はギプスの除去後可能です。その間は洗顔ではなく、拭き取るか、鼻を避けて洗顔することができます。
--シャワー・入浴
シャワーは翌日から、入浴はドレーンを抜去してから可能です。
いずれも術式やクリニックの方針で違ってきます。術前にしっかりと確認しておきましょう。また主治医の指示はしっかりと守りましょう。
鼻の整形『鼻中隔延長』の質問集
Q&A
鼻中隔延長に対していくつか疑問や不安がある。そんな方が少しでも安心して手術を受けることができるよう「鼻中隔延長」に関するさまざまな疑問に美容のプロが詳しくお答えします。是非参考にして下さい。
- 術直後の状態が知りたいです。どんな姿で帰ることになるんですか?
- 術直後ですが、鼻にギプスのような固定の板をあててその上にテーピングをしています。両側の鼻の穴にスポンジのような素材のものが挿入されます。これは鼻腔の腫れを抑えることと、出血を防ぐため止血目的で挿入します。ですので鼻から息をすることができません。マスクをして帰宅することになります。
- 希望している仕上がりになれますか?
- 希望している仕上がりにできるか否かは、今のあなたの鼻の状態(高さ・形、皮膚の固さなど)で決まります。100%希望に沿うこともできる場合もあれば、難しい場合もあります。その場合、どこまでの仕上がりが可能かということは医師が正確に提案してくれます。
その提案に納得できれば治療を受ければ良いですし、納得できない場合、無理な場合は諦めるという選択になるでしょう。また、カウンセリングで仕上がりに対し、どこかで妥協することも必要だと思います。
鼻の形状や形というのは、皮膚の固さや、伸びで大きく変わってくるものです。全て手術の前に相談できることです。医師がお約束した内容で納得のいった場合には、その結果に仕上がりますのでご安心下さい。
- 手術は局所麻酔ではできないんですか?
- 鼻中隔延長は全身麻酔による手術が必須です。局所麻酔での手術は無理です。