下顎枝矢状分割術のダウンタイム、リスクと問題点

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下顎枝矢状分割術は受け口、反対咬合と呼ばれる骨の問題を解決する骨切り術の一つです。下顎骨の下顎枝部分の骨を切って、下顎全体を切り離すことによって下顎全体を自由に移動させ、美しいフェイスライン、輪郭を整える手術です。
骨を切るため術後の腫れや痛みなど引き起こすことは容易に想像できると思います。
ここでは術後のダウンタイム、下顎枝矢状分割術のリスクや問題点について詳しくご案内しましょう。

枝矢状分割術のダウンタイム、リスクと問題点

下顎枝矢状分割術のおさらい

下顎枝矢状分割術というのは、下顎全体が前方向に出ていることで受け口、しゃくれ顔になっている状態を理想的、健康的な位置に下顎を移動させる輪郭の骨切り手術です。
具体的にどんな手術かというと、左右の下顎枝部分を図のようなラインで骨切りすることで、下顎体部分をフリーにし、前後・左右自由に適切な位置に移動させて理想となる輪郭、フェイスラインの位置で固定する輪郭の手術です。

こんな方が手術の対象

  • 受け口を治したい
  • 下の歯が前に出ていて噛み合わせが悪い
  • 口が閉じない、閉じにくい
  • 下の歯が前に出ていているため正しい発音が出来ない
  • 理想の輪郭に整えたい

下顎枝矢状分割術のダウンタイム

下顎枝矢状分割術の術後に心配なのは、どれくらい腫れるんだろう、痛みっていつまで続くんだろう。術後のダウンタイムは不安なことばかり。ここでは下顎枝矢状分割術における術後のダウンタイムについてご案内します。

腫れ・内出血

下顎枝矢状分割術の術後の腫れですが、エラ削りや顎削りなどの骨切りと比べると腫れは長めです。一般的には1ヶ月程度で70〜80%の腫れは引きますが、完全に落ち着くまでには2〜3ヶ月続くことも少なくありません。
内出血については数ヶ月かかるものではなく、数週間程度で引いてしまいます。

(腫れを長期化させないポイント)
  • 術後の圧迫、フェイスマスク等は指示通りしっかりと守りましょう。
  • マッサージなどは腫れが完全に落ち着くまで控えましょう。
  • 寝る時は上半身を高くして寝る。
  • 飲酒は控えましょう。

痛み

術後の痛みですが、処方された痛み止めは飲み切るまで服用しましょう。万一、服用していても痛みが十分止まらない場合、内服薬を変更した方が良い場合もありますので主治医に相談して下さい。
痛みが長期に及ぶということはありません。ただし口を動かした時に感じる痛みの消失には少しお時間がかかる場合があります。

皮膚のたるみ

下顎枝矢状分割術は下顎の骨を後方に移動するため皮膚に余裕ができてしまいます。通常は、皮膚の伸縮がありますのでたるみを生じない場合もあるのですが、皮膚の性質や年齢等によってはたるみが出てしまうことがあります。
万一、たるみが出てしまった場合、外科的にたるみを取るか、スレッドリフトのように糸で引き上げるかなど対処する方法にはいくつかありますので、主治医とよくご相談下さい。

皮膚の感覚が鈍くなる・しびれが出てしまう

下顎の骨には歯、歯茎、下唇、頬粘膜などの知覚を支配する神経がたくさんあります。通常の経過において、手術でそれらの神経を切ってしまうことはありませんが、骨膜を剥がす時に傷つけてしまったり、手術の視界を確保するために器具で広げたりするのですが、それが神経にダメージを与えてしまうことは少ないことではありません。
神経というのは非常に繊細で引っ張っただけの刺激でも数ヶ月麻痺してしまうことがあります。長い人ですと回復までに1、2年程度かかってしまったという例もあります。ただし、神経の回復を早めるために内服も期待できますので主治医とよくご相談下さい。

口が開けづらくなる

手術で筋肉(咀嚼筋等)の剥離といって剥がす操作を行います。そのため術後は口が開けにくくなることがあります。通常、2週間以降にお口を開ける運動を実施することが推奨されています。お口を開けるリハビリを実施するかしないかで開けやすさは大幅に違いますので医師の指示のもとしっかりと実施しましょう。

火傷・傷跡

手術で火傷?と思うかもしれませんが、骨切り用の機械は使用中高温になるものがあります。新しいタイプの機械には冷却装置がついているのですが、冷却装置のついていないものは、口の周りに火傷をしてしまうことがあります。

術後のリスクと副作用

顔面神経麻痺

下顎枝矢状分割術の術後に比較的多い症状の一つとして、一時的な顔面神経麻痺があります。下顎の骨の内部には歯、歯茎、下唇、頬粘膜などの知覚を支配する神経がたくさん通っています。手術中に神経を切断してしまうようなことはありませんが、触れて傷つけてしまったり、手術の視界をよくするために周辺組織を広げたりするのですが、そういった作業一つで強い炎症を与えてしまい麻痺を引き起こしてしまうこともあります。
しかし、そのような麻痺は一生残るものではありません。数ヶ月という時間をかけて少しずつ回復していきますので安心して良いでしょう。

左右差

骨切りに限ったことではありませんが、左右差のリスクは必ずあります。
医師は元々左右差がある場合、それを補正するよう対応してくれますが、それでも一定の限界があるということは十分理解しておく必要があります。
また、骨以外にも筋肉の付き方も左右差が出てしまう場合があるでしょう。

骨の段差

骨を切り離し新たな位置で固定するのですが、骨を重ねた部分に段差が生じます。その段差はある程度は削って均してくれますが、基本的にはある程度は残ってしまいます。しかし、時間と共にその段差は骨が癒合して行く過程で無くなっていきます。

⑤ 感染

外科手術ですので常に感染のリスクがあります。感染というのは骨や手術したその周辺組織に菌やウイルスが入り込んで強烈な炎症を引き起こしてしまう状態です。
骨切りなので感染を引き起こした場合は非常に厄介で、早急な治療が必要です。症状としては痛み、強い腫れ、発熱等で無症状ではありませんので何かしらの異常を感じたら速やかに医師の診察を受けて下さい。

骨壊死

骨壊死というのは、骨組織が死んでしまう状態のことです。壊死した骨は欠損した状態となり輪郭にも大きな影響を与える可能性があります。しかし、骨壊死はあくまで可能性の問題であり、実際に骨壊死したというケースはほとんどありません。
万一、引き起こした場合は状態が落ち着いてから、人工骨やシリコンプロテーゼを使って欠損した部分を補う治療を行います。

④過矯正

下顎枝矢状分割術は、術前に予測模型を作り、その模型に準じて手術、骨の固定を行いますので過矯正になるということは基本的にはないと考えて良いでしょう。しかし、それはあくまで医師の技術と経験によっても違ってきます。

最後に

これらが下顎枝矢状分割術における術後のリスク・問題点です。
医師はこれらのリスクを最小限にとどめること、症状を悪化させないことを考慮し手術を行います。しかしそれ以上に大切なのは手術計画です。
骨の状態というのは見た目で判断できません。レントゲンやC Tのデータ、歯列含めたパノラマ写真、輪郭の補正後のシミュレーションモデル等さまざまな基礎データをもとに手術計画を立てる必要があります。
下顎枝矢状分割術で失敗しない、トラブルに巻き込まれないためにもカウンセリングをしっかりと受けること、セカンドオピニオンとして複数の医師の意見を求めることは忘れないで下さい。

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