脂肪吸引の手術を終えてホッとしたのも束の間、待っているのは「ダウンタイム」と呼ばれる回復期間。この時期の過ごし方次第で、理想の仕上がりに近づけるかどうかが決まってしまうことも少なくありません。
「なるべく早く腫れを引かせたい」「きれいなラインで落ち着かせたい」「トラブルを防ぎたい」——そんな思いに応えるため、ここではダウンタイム中に気をつけたい生活のポイントを詳しくご紹介します。
我慢だけではない、無理のない工夫で乗り切る方法も。
せっかくの脂肪吸引、後悔のない結果につなげるために、ぜひ参考にしてみてください。
圧迫・固定は「術後の仕上がり」を左右する最重要ポイント
脂肪吸引後の「圧迫・固定」は、ただのダウンタイム対策ではありません。腫れや内出血を抑えるためのケアであると同時に、吸引後の皮膚のなじみや仕上がりの滑らかさを大きく左右する極めて重要なステップです。
術後は、脂肪が吸引されて空洞になった組織の内部に水分や血液が溜まりやすく、放っておくとむくみや内出血が長引く原因に。また、皮膚がうまく吸着せずにたるみや凹凸、左右差が生じてしまうリスクもあります。
だからこそ、医師の指示通りに圧迫を行うことが絶対条件です。専用の圧迫ガーメント(着圧ウェア)を適切な強さで着用し、指定された期間しっかり続けることが大切。一般的には、術後1週間程度の24時間圧迫、その後さらに1~2週間の昼間圧迫が基本とされます。
圧迫・固定で注意すべきポイント
- 隙間ができないように密着させる
→ 凹凸やたるみの原因になります。 - 締めすぎないことも大事
→ 血行不良による痛みやむくみ悪化を招くおそれ。 - 皮膚トラブルに注意
→ ガーメントの素材や着脱の摩擦でかゆみ・かぶれが出ることも。皮膚トラブルが出たらすぐに医師へ相談を。 - タンパク質(肉・魚・卵・大豆など)
→ 傷ついた皮下組織の修復や、筋肉の維持・再生に不可欠。 - ビタミンC(果物・ブロッコリーなど)
→ コラーゲン生成を助け、内出血や皮膚回復を早めてくれる。 - 鉄分・亜鉛などのミネラル(赤身肉・レバー・ナッツなど)
→ 血液の再生や代謝、免疫機能の正常化に役立つ。 - 塩分の摂りすぎ(加工食品・カップ麺など)
→ ナトリウムが水分を体内に溜め込み、むくみが悪化。 - 糖分の過剰摂取(お菓子・清涼飲料など)
→ 炎症を促進し、組織修復の妨げになる可能性あり。 - 脂っこい食事・暴飲暴食
→ 消化に負担がかかり、全身の代謝・回復のリズムを乱す。 - 高タンパク・低脂質の食事を意識する
- 甘いものやアルコールは控えめに
- 寝る前の食事は避け、食べる時間帯にも気をつける
- 脂肪吸引した部分の脂肪はもうつかないって本当?
- 基本的に、一度吸引された部分の脂肪細胞は再生されません。ただし、残っている脂肪細胞は大きくなる可能性があります。つまり、太ることはあるけれど、「以前のようにつく」わけではないという認識が正解です。暴飲暴食は避け、体重管理は大切です。
- 圧迫ってそんなに大事?やらなかったらどうなるの?
- 圧迫・固定は、腫れや内出血を抑えるだけでなく、皮膚の引き締まりや仕上がりの滑らかさにも直結する重要なケアです。やらなかった場合、むくみが長引いたり、皮膚がたるんだままになるリスクがあります。医師の指示に従って、必ず丁寧に行いましょう。
- ダウンタイム中、どのくらい動ける?
- 痛みや腫れがあるため、手術翌日は安静が基本です。2〜3日目からは軽い動き(家事や買い物程度)は可能ですが、本格的な運動は2週間〜1ヶ月後が目安になります。仕事復帰はデスクワークなら数日〜1週間で可能なケースが多いです。
- リバウンドしたら、また脂肪吸引できる?
- 可能ですが、部位によっては再吸引が難しいこともあります。一度脂肪を吸引しているため、皮膚が薄くなっていたり、癒着が起きている場合があり、手術の難易度は上がります。「再吸引よりも、まずはリバウンドしない工夫」が重要です。
術後の圧迫は、「楽に過ごすため」以上に「きれいに仕上げるため」のもの。サボってしまうと、そのツケが最終的な見た目に現れてしまいます。「せっかく吸引したのに満足できない」なんて結果にならないように、術後ケアの中でも圧迫は最優先事項と考えて、丁寧に取り組みましょう。
食生活と水分摂取のバランスに注意
脂肪吸引後の体は、ダメージを受けた組織の修復を進めるため、栄養や水分を強く必要としています。食事や水分摂取を軽視すると、回復が遅れたり、むくみが長引いたりすることも。術後の食生活には「回復を助けるための食事」と「むくみを悪化させないための注意」の両方の視点が必要です。
摂りたい栄養素
脂肪吸引後の体は、目に見えないダメージを多く受けています。特に皮下の組織は修復を必要としており、そのために欠かせないのが「タンパク質」や「ビタミン類」「ミネラル」などの栄養素です。これらを十分に摂ることで、治癒を早め、内出血や腫れの軽減にもつながります。
控えたい食習慣
一方で、術後の回復を妨げたり、むくみを悪化させたりする食生活も存在します。何気ない食習慣が回復スピードや見た目に影響を与えることがあるため、避けたいポイントを意識しておくことが大切です。
水分はしっかりと
術後は「水分を摂るとむくむのでは?」と心配になるかもしれませんが、実は十分な水分補給こそがむくみの予防と改善につながります。体内の循環を促すことで老廃物の排出が進み、腫れの軽減や回復スピードにも良い影響を与えます。
目安は1日1.5~2リットルの水分補給。カフェインやアルコールは利尿作用が強く、逆に脱水を招きやすいため、控えめにしましょう。
完成までの見た目と感触の変化
脂肪吸引の「完成」とされるのは、一般的に術後3か月〜6か月と言われています。ここではその間に起こる見た目や感触の変化を、時期別に解説します。
1か月後|むくみは残るが、細さを実感し始める
1か月後には大きな腫れや内出血はほとんど引いていますが、深部のむくみや硬さ(拘縮)はまだ残っています。
しかしこの頃から「細くなった」「洋服のサイズが変わった」と感じ始める人も増えてきます。
3か月後|スッキリ感と柔らかさが出てくる
3か月が経過すると、多くの方が理想に近い見た目や触感を得られるようになります。
拘縮もかなり改善し、皮膚の表面がなめらかに。“完成形に近づいた”と実感できる時期です。
6か月後|完成!自然でなじんだ見た目に
6か月後には、吸引した部位と周囲との境目がなじみ、違和感のない自然な見た目になります。
凹凸や硬さが消え、施術前とはまったく違うボディラインに満足する声も多いタイミングです。
完成後も気をつけたい生活習慣
脂肪吸引は一度受ければ終わりではありません。せっかく手に入れた理想のボディラインをキープするためには、日々の生活習慣が非常に重要です。
リバウンド防止のための食事管理
脂肪吸引によって脂肪細胞の数は減少しますが、残った脂肪細胞は大きくなることが可能です。
そのため、術後に暴飲暴食を続けてしまうと、別の部位に脂肪がついたり、全体的に太ってしまう可能性があります。
ポイントは以下の通りです。
適度な運動で代謝をキープ
脂肪吸引後も筋肉を動かして代謝を上げることが大切です。
無理な運動は不要ですが、ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレなどを習慣化すると、脂肪がつきにくく、むくみも予防できます。
睡眠・ストレスケアも大切
睡眠不足や強いストレスは、ホルモンバランスを乱し、脂肪を蓄積しやすくする要因になります。
術後の回復を促し、健康的な体を維持するためにも、しっかり眠り、ストレスをためこまない生活を意識しましょう。
脂肪吸引のよくあるご疑問
脂肪吸引を検討するうえで、多くの人が感じる不安や疑問。ここでは、実際によく寄せられる質問に対して、わかりやすく・正直にお答えします。気になる点がある方は、ぜひ参考にしてください。
「脂肪を取って終わり」じゃない、脂肪吸引の本当の勝負は術後に始まる
脂肪吸引は、気になる脂肪を除去することで理想のボディラインを目指す治療ですが、手術が終わった瞬間がゴールではありません。むしろ、そこがスタートです。
ダウンタイム中の「圧迫固定」「安静」「栄養補給」「禁酒・禁煙」、落ち着いてきたらマッサージ、ストレッチなどの運動など、一つひとつが、過ごし方や仕上がりに直結します。
たとえば圧迫が不十分だと、腫れが長引いたり、左右差や凸凹が目立ちやすくなることも。
逆に、しっかりとケアできた人ほど、腫れも早く引き、滑らかで自然な仕上がりに近づけます。
ダウンタイムを「ただ我慢する時間」にするのではなく、少しでも快適に過ごすことができるよう正しい知識、情報を持つことが大切です。