美容整形のカウンセリングでは、「あなたにはこの施術もおすすめです」と、当初の希望とは異なる提案をされることがあります。もちろん、それが本当に必要な提案である場合もありますが、中には「とにかく施術を増やしたい」というクリニック側の利益を優先した商業的な提案も存在します。
美容医療が身近になった今だからこそ、提案をそのまま受け入れるのではなく、「それは本当に自分に必要な整形かどうか」を見極める視点がとても重要です。
ここでは、過剰な提案にどう向き合えばいいのか、自分の理想と必要性をどうバランスよく考えるべきかについて、具体的にご紹介します。
1. なぜ“過剰な提案”が行われるのか
美容整形は保険が効かない自由診療。医療行為でありながらも、クリニックにとっては「ビジネス」の一面を持っています。だからこそ、利益を重視するあまり、本来必要ない施術まで提案してくるケースが少なくありません。
たとえば「この施術だけでは変化が乏しいから、あれも追加しませんか？」「せっかく来ていただいたので、ここも一緒に改善しましょう」といった言い回しで、気づけば最初の悩みとは関係のない施術まで候補に上がっていた…そんな経験をした人も多いのではないでしょうか。
また、SNSや広告では華やかなビフォーアフターが目立ち、「もっと変われる」「この人みたいになりたい」という気持ちが強まる一方で、それに応えようとする医師も、過剰な変化を前提とした提案をしてしまうこともあります。
しかし、美容整形で大切なのは“必要な変化だけ”を見極めること。提案のすべてを鵜呑みにせず、まずは「本当に自分に必要なものか？」と立ち止まることが重要です。
2. “必要な整形”かどうかを見極める視点
過剰な整形を避けるには、「その施術、本当に自分に必要？」という視点を持つことが大切です。次のようなチェックポイントを意識してみましょう。
その悩みに対して、施術は“唯一の答え”なのか？
たとえば目元のたるみが気になる場合でも、切開手術ではなく、注入系や照射系といった非手術的アプローチで十分なこともあります。
その治療を“しなかった場合”の未来を想像してみる
治療を受けなければどうなるのか？老化が進むのか、メイクで隠せる程度なのか。冷静に考えることで判断基準が変わることもあります。
「やらなければ不安」ではなく「やったら納得できる」かで考える
気持ちの焦りや不安だけで施術を決めると、後悔につながる可能性があります。
費用・リスク・変化のバランスが取れているか？
リスクが高いわりに効果が限定的な治療もあります。費用対効果を含めて冷静に判断しましょう。
本当に必要な整形は、「不安だからやる」ではなく、「納得して選べる」ものです。
3. セカンドオピニオンを上手に使う
医師の提案に違和感を持ったとき、あるいは「これで本当に大丈夫かな？」と迷いを感じたときは、セカンドオピニオンを取るのが賢明な判断です。
美容整形は医師によって考え方が異なり、同じ悩みに対してもアプローチがまったく違う場合があります。
たとえば、ある医師は「切開が必要」と言っても、別の医師は「注入治療で十分」と判断することも珍しくありません。また、施術の優先順位や術式の選び方、リスクへの考え方も医師によってさまざまです。
セカンドオピニオンを受けるメリットには次のようなものがあります。
治療の選択肢が増える
一人の医師だけでは得られなかった方法や新たな視点を知ることができます。
医師の提案が妥当か判断できる
「本当に必要な整形かどうか」を、客観的に見つめ直す機会になります。
納得して施術に臨める
複数の意見を聞くことで、自分が選ぶべき方向性に自信を持てるようになります。
納得のいく選択のために、「迷ったらもう一人」ではなく、「迷う前に複数の意見を聞く」くらいのスタンスで、セカンドオピニオンを積極的に活用していきましょう。
4. 美容整形に“完全体”を求めない
整形にハマってしまう人の多くが抱えるのが、「もっとキレイに」「もっと変われるはず」という“終わりのない美”への欲求です。しかし、美容整形には必ずリスクが伴い、やればやるほど理想から遠ざかってしまうケースもあります。
特に注意したいのが、医師からの「あと少しやればもっと美しくなる」「この施術もプラスすれば完璧になる」といった“魅力的な提案”です。その言葉が、自分の本当のゴールを曇らせてしまうこともあります。
整形で大切なのは、「どこまで整えるか」の線引きを自分自身で持つこと。
以下のような姿勢が、整形の“やりすぎ”を防ぐポイントです。
- 自分にとっての「満足の基準」をあらかじめ考えておく
- 自分の顔の個性やバランスを否定しすぎない
- 他人やSNSと比べて判断しない
- 無理に他人の“理想像”に近づこうとしない
美容整形は「完成を目指すもの」ではなく、「納得できる自分に近づく手段」です。美しさは整形の先にあるのではなく、自分の中にある“満足と自信”の中に育っていくものなのです。
“本当に必要な整形”を見極めよう
美容整形は、あなたの人生や自信に大きな影響を与える選択肢です。だからこそ、「言われたからやる」「勧められたから受ける」ではなく、「自分が納得したから選ぶ」という姿勢が大切です。
医師の提案をうのみにせず、複数の視点から判断することで、本当に必要な整形かどうかを冷静に見極めることができます。
また、自分の中で「ここまでで十分」と満足できる基準を持つことも、“やりすぎ”を防ぐ上でとても重要です。
美容整形は、あなたを変える手段であって、あなたの価値を決めるものではありません。
本当に必要な整形を、納得して選ぶ。
それが、後悔しない美しさへの第一歩です。
