―制汗剤でも止まらない。ずっと悩んでたのは“汗ジミ”より、まわりの目だった。
「会社の制服がグレーなんですよ。だから、6月くらいから毎年、服の色ばっかり気にしてました。」
そう語るのは、営業職として働く28歳の女性・木村早紀さん(仮名)。
毎年梅雨~夏の季節にかけて、彼女が抱える悩みは“ワキ汗”。市販の制汗スプレー、ロールオン、汗拭きシート……手は尽くしたが、「これさえあれば大丈夫」と言い切れるものには出会えなかった。
「営業先での名刺交換のときも、“あ、汗ジミ見えてないかな”って気になって。集中できなくなるんです。」
「真夏の通勤電車が怖かった」——汗ジミが教えてくれた現実
毎年6月。気温が上がってくると、まず気になるのは「服の色」だった。
白や黒ならまだいい。でも、ライトグレーやベージュは避ける。脇に汗ジミがにじんだ瞬間、それだけで一日中気分が沈んでしまうから。
「暑い」のは我慢できる。けれど、「汗を見られる」のが恥ずかしい。
制汗スプレーを持ち歩き、通気性の良い服を選び、ハンカチを挟んでみたりもした。
それでも、満員電車で腕を上げた瞬間や、ふと鏡に映った自分の姿に“ゾッ”とすることがある。
「自分の汗って、こんなに人目が気になるものだったんだ。」
どんなに丁寧にメイクしても、気分が上がる服を着ても、脇汗がそれを全部“台無し”にする感覚。
それが毎年、夏になるたびに襲ってくる——。
調べた先にあったのが「ボトックス注射」
ある日、Instagramで「脇汗 ボトックス体験レポ」を偶然見つけた。
「正直、“え、美容整形の話?”って最初は抵抗がありました。でもよく読んだら、保険適用もあるって書いてあって驚いたんです。」
そこから、彼女の中にあった“美容医療=見た目を変えるためのもの”というイメージが少しずつ崩れていった。
「調べていくと、“汗を止めるために医療がある”って分かって。むしろ、“何で今まで知らなかったんだろう”って思いました。」
カウンセリングで言われた「あなたのせいじゃない」という一言
勇気を出して訪れた美容皮膚科でのカウンセリング。医師の言葉に、思わず涙が出そうになったという。
「“あなたが神経質なんじゃなくて、ちゃんと症状としてあるものです。解決できますよ”って言ってもらえて……救われた感じがしました。」
施術は両脇に極細の注射を10か所程度。所要時間はわずか15分。
「正直、チクッとしたけど、思ってたよりずっと軽く済みました。」
効果が出たのは2日後。ストレスが“消える”ってこういうこと
「汗が“出ない”って、こんなに快適なんだって実感しました。」
施術から1週間後、彼女のワキ汗は明らかに減った。夏場のグレーのシャツも、ノースリーブも着られるように。なにより、汗を気にする時間がゼロになったことが、自信に直結した。
「暑いときに“あ、ヤバい”って思わなくなった。たぶん、笑顔も自然になったと思います。」
ボトックスは“整形”じゃない——生活の質を上げる選択肢
「今まで“美容医療=見た目を変えること”って思ってたけど、こういうのも“医療”なんだなって。」
美容目的ではなく、日常の悩みを解決するための美容皮膚科の施術。それを体験した彼女は、自分の中の価値観が少し変わったという。
「“整形とかムリ”って思ってる人にも、これは知ってほしい。ほんとに、生活変わるから。」
これだけの変化を知ったら、もう戻れない。
「正直、“一回で終わり”のつもりだったんです。でも、快適すぎて“やらない選択肢”がなくなりました。」
木村さんが初めて脇汗ボトックスを受けてから、2度目の夏を迎えている。
効果の持続は約4〜6ヶ月。毎年、春の終わり頃になると、自然とスケジュール帳に「ボトックス」と書き込むようになった。
「暑くなる前に“備えておく”感じです。もう、汗に怯えて服を選ぶ生活には戻りたくないから。」
それは、誰かに“整形”と言われたとしても、他人に理解されなくても、
「自分が、自分らしくいられる夏」のために選ぶ習慣。
美容医療がくれるのは、見た目の変化だけじゃない。
“気にしなくていい”という自由を、わたしたちにくれる。
実はボトックスだけじゃない。汗対策には“選べる治療”がある
「ボトックスがすべてだと思っていました。でも、調べてみると意外なほど選択肢があるんですね。」
脇汗の治療=ボトックスというイメージが強いが、実際には他にもさまざまな方法が存在する。症状の度合いやライフスタイル、費用面などによって、自分に合った治療を選べる時代だ。
たとえば、
- 制汗剤の医療版「外用薬(エクロック®・ラピフォート®)」
→ 塗るだけで交感神経に作用し、発汗を抑える。手軽さが魅力。 - ミラドライ(マイクロ波治療)
→ 汗腺そのものを破壊する施術。効果が半永久的と言われている。 - レーザー治療・皮膚切開による汗腺除去手術
→ 医療機関によっては保険適用。重度の多汗症に選ばれるケースも。 - 内服薬(プロバンサインなど)
→ 全身性の発汗がある人向けに使用される。副作用とのバランスがカギ。
「選べる」ということは、無理に流行や他人に合わせる必要がない、ということでもある。
「汗を気にせず過ごしたい」
その思いの強さや生活に与える影響の大きさによって、治療法を“自分で選ぶ”ことができる。
そして、ボトックスはその選択肢の中でも、即効性と低侵襲性が魅力のひとつというわけだ。
編集後記:
“ワキ汗”は、恥ずかしいものでも、我慢するしかないものでもない。
毎日の服選びがストレスなら、美容皮膚科に相談するという選択肢がある。
それは、美しさのためだけじゃない——自分らしく過ごすための医療だ。