眼瞼下垂の手術
眼瞼下垂の手術には3つの術式があります。
それぞれ症状や希望している仕上がりに応じて術式を選択するのですが、美容整形として行われる術式は基本的には挙筋前転法です。
挙筋前転法
これまでの眼瞼下垂の手術は挙筋短縮法、タッキング法が主流でした。この方法は瞼を持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)を切除して短くしたり、折り曲げて短くすることで瞼の持ち上がる量を増やして眼瞼下垂の症状を改善させるのですが、筋肉を傷つけてしまうというデメリットが出てしまいます。眼瞼挙筋、ミューラー筋は自律神経の交感神経が大きく関与しているため傷つけてしまうということは何かしらの問題が出てしまうリスクがあります。しかし、挙筋前転法は違います。挙筋前転法は筋肉を直接操作するようなことはしません。
そもそも眼瞼下垂の主な原因は瞼を持ち上げる筋肉に障害があるわけではありません。筋肉の機能は正常なんです。何が問題かというと”瞼板と眼瞼挙筋との接続に緩み”が出てしまっているからなんです。本来、瞼板と眼瞼挙筋というのはしっかりとくっついています。それが目を擦る癖があったり、ハードコンタクトの長期使用、濃いアイメイクなどによって瞼への過剰な刺激を与えてしまうことによって、瞼板と眼瞼挙筋との接続に緩みが出てしまうんです。
緩みがでしまったことで、瞼をしっかりと持ち上げることができず、黒目が少し隠れてしまい目が小さく見えてしまうといった症状を引き起こしてしまいます。
挙筋前転法は、その緩みを解消させることで瞼本来の機能を正常化させることができる手法です。なので筋肉などに傷付けることなく生理的な自然な修復ができるんです。
挙筋前転法の詳細
挙筋前転法は、文字通り「挙筋」を「前転」させる治療.. ではありません。眼瞼挙筋ではなく、ただしくは眼窩隔膜を前転させる方法なんです。
眼窩隔膜というのは、眼窩脂肪を覆っている膜のことで、その膜を切開して、前転させて瞼板にしっかりと固定する方法です。筋肉を直接処理してしまったら「挙筋短縮法」を変わりありませんからね。
眼窩隔膜は眼瞼挙筋にしっかりとくっついているので眼窩隔膜を処理することで眼瞼挙筋を操作しているのと同じ効果を導き出すことができるということなんです。
眼窩隔膜をしっかりと瞼板に固定するということが挙筋前転法のキモであることを知っておきましょう。
挙筋前転法のメリット
挙筋前転法は筋肉を直接操作するのではなく、眼窩隔膜を利用して、眼瞼挙筋と挙筋腱膜、瞼板との接続を再びしっかりと固定するためトラブルを起こしにくいだけではなく、筋肉への負担がほとんどなく生理的な改善ができるのが大きなポイントです。
・目の開きがスムーズ・仕上がりが自然
・将来的な再手術も容易・トラブルが少ない
術後の経過・ダウンタイム
挙筋前転法は術後から強い腫れを引き起こします。また2、3日以降には内出血が出てしまうことも少なくありません。しかし、これらの問題は時間の経過で消失しますので我慢して待ちましょう。
腫れ・内出血
腫れは手術の翌日がピークです。強い腫れが2、3日続いてそれから少しずつ落ち着いてきます。腫れについては個人差がありますが、5、6日でピーク時の腫れの半分程度まで回復し、7〜10日後には8割程度の腫れは引いているでしょう。
内出血は術後2〜3日で出現し、4〜6日程度で吸収され消失します。長期化することはありません。
通院・抜糸
手術の翌日に状態観察のための検診が一般的です。抜糸は7〜10日後です。
眼瞼下垂の料金
眼瞼下垂の手術費用ですが、自費診療です。保険は適応されません。病気と診断された場合は一部保険の対象となる場合がありますが、その場合、美容的な希望を叶えることはできません。保険診療としての眼瞼下垂はしっかりと見開くことが目的ですので、二重の幅や目の大きさなどの要望を叶えることはできないです。
眼瞼下垂の手術費用:40〜50万円
挙筋前転法は自由診療ですのでクリニックによって料金の設定は違いますが、一般的な相場としては40〜50万円と考えて良いでしょう。
料金の仕組み
自由診療の場合の料金ですが、標準的なこととして、手術費用に術後の検診費用、術後に処方される内服薬、ホームケアの消毒等の医療材料等のすべてを含んでいます。手術費用以外にかかるものとしては、初診料、血液検査が別途必要です。
最近の傾向として術後に再手術が余儀なくされた場合の費用は別途請求されるということがありますので、挙筋前転法の手術を受ける前に万一の修正手術の費用も確認しておきましょう。
その際注意してほしいのは再手術は無料でできるのか、再手術の際の内服や麻酔等に追加加算はないのかということも確認しておきましょう。
料金で注意すること
美容整形の手術費用ですが、一部のクリニックで複雑化していて、総合的な金額がホームページでわからないところがあります。例えば、あなたの瞼の場合は特別な○○だから追加加算が○○万円といった感じで想定外の料金になってしまうところもありますので十分注意しましょう。
キャンセル費用
手術の申し込みには必ずキャンセル費用が発生します。キャンセル費用についてはしっかりと確認し、キャンセルする場合は、決められた日程までに連絡を入れるなどの措置を忘れないようにしましょう。美容クリニックの場合、キャンセル費用は高額なところが多いです。
支払い方法
眼瞼下垂の手術の支払い方法ですが、現金払い、事前振込、クレジットカード、医療ローンの4つの方法があります。
瞼の整形『眼瞼下垂』の質問集
Q&A
眼瞼下垂の手術を受けたい。でもやっぱり気になるのが、術後の状態や手術によって生じるリスク。安心して眼瞼下垂の手術を受けるためにも色々なことは知っておきたい。ここではそんな方のために眼瞼下垂に関するさまざまな疑問について詳しくご紹介します。
- 保険で治療できると思うんですが。
- 病気としての治療であればもちろん保険で治療することはできます。しかし、保険治療はあくまで疾患の治療、症状の改善です。美容的な意味での治療に保険は使えません。ごく一部の医療機関では美容的なものであっても病名を付けて保険治療として眼瞼下垂の手術を行なっているクリニックもあるようですが、そのようなクリニックでの眼瞼下垂にはいくつもの問題があると考えた方が良いでしょう。
- ダウンタイムはどれくらい必要ですか?
- ダウンタイムですが、お仕事をされている方で周囲の目が気になると言う方であれば10日程度のお休みをお勧めします。腫れや内出血などは個人差がありますので、3、4日で人前に出たという方もいれば2週間近く引きこもったと言う方もいます。
- 手術直後はどんな状態ですか? 普通に家に帰れるんでしょうか?
- 手術直後の状態というのは麻酔や手術の影響で腫れていますが、ピーク時の腫れではありません。また、新しい場所に二重瞼の皮膚の折り返しができるためまだ馴染んでいないため厚めに出てしまうことも多く、幅広の不自然な状態です。
しかし、何かまぶたにあてることもしませんので見た目が不自然な以外に特段変わったことはありませんので普通に帰宅することができます。
クリニックではサングラスの持参を勧められますが、縁が太めの黒縁メガネでも良いと思います。
また、帰宅の際に切開部分から血液が滲み出ることもありますが、術後1日は出てしまうことも多いです。クリニックでガーゼを少しもらっておくか、汚れても良いようハンカチなどを持参しておきましょう。
- 左右差が出やすい治療というのは本当ですか?
- そうですね。眼瞼下垂の手術は通常の二重瞼の手術と違って筋肉まで操作する治療です。そのためそれぞれの目を開けるときの癖などが直接影響することも多く、左右差を引き起こしやすい治療の一つと考えて良いでしょう。
- 保険と、保険外の治療で結果は違うものですか?
- 基本的な術式は同じです。ただ、治療目的が違いますので結果に差は出るでしょう。保険治療というのは病気としての治療ですので目を開けることが目的です。しかし、美容的な眼瞼下垂の場合、仕上がりが重視されますので、あなたの希望が最優先されます。それに伴い治療結果も違ってくると思います。
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